最後の10P程を何度も読んで、何度も何度も読み返して、読み返すたびに涙が溢れます。切ないよー、幸せな終わりなのに、どこか胸がきゅうっとなるような感覚がする。
仁が慶光に与えてもらった光の全て、慶光に向ける感情の全てが、こちらがつらくなってしまうほどに胸に迫ってきてですね…ああ、この子には慶光が全てだったんだなぁと思ったら、涙腺が崩壊しました。慶光が全てだった世界に光也が入ってきて、同じように救われていく。同じ顔、でも違う人格の中に同じ陽だまりを見つけて、心惹かれていく過程が……今までの巻を今読み返したら、前読んだ時と、きっと違う感想を抱くんだろうな。
あんなに綺麗なキスシーン、見たことない。下心の一片もない親友へのキス、ただ愛しさが溢れて、口付けずにはいられなかったんだ、と思うと……親愛、友愛、恋情、羨望、憧憬、そんなものの全部が――それ以外の感情さえもお互いに向かっていくのに、一緒に生きてはいけない。2人は違う時代に生きた人間で、いつかは光也が帰ってしまうと、どちらもが知っているから。幸せでいてと願うだけ。
「幸せになれ」「オレを悲しませない生き方を心がけろ」「死ぬまで 幸福になる努力を怠るな」――「オレを喜ばせて 仁」。
このあたりのページは、もう駄目だ……! しんどい、切なすぎて胸が痛い……!
心の底から相手を想えるようになった時、願うことはたぶん誰でも一緒です。でもそれは、言葉には出来ないことの方が多いと思う……光也は、自分の口でそれを伝えられる強い子。
光也がお守りだと渡した黒のナイトは、仁が従軍した後も、仁の心を守っていたんだろうなぁ……空に手を伸ばしながら「彼のために世界を守る」と言っていたもの……
人から見れば幸せではないかもしれない人生でも、最期の時まで仁も百合子も亜伊子も、慶光も、幸せだったと胸をはれる人生だったんじゃないかなぁ。記憶が幸福を作る、というのは、たぶん真実だと思うんだ。
慶光から語られた慶と節のその後にも、胸の詰まる想いがしました。幸せだったんだね、良かった、本当に良かった。失ったものを補って余りある幸福を手に入れられたのなら、あの時代に残ったことは、最良の結末だったんだね。
時を越えて届く想いが、幸せで切ない涙を生んでいく。暖かいけど溢れて止まらないものが、懐かしさが、愛しさが、70年もの時間を経て積もっていくのは、どれだけ幸福なことなんでしょうね。記憶はどうやったって薄れていくはずなのに、焼き付けられたように消えない、二度と逢えない人たちの顔。逢えないけど哀しくはなくて、幸福で――光也も仁も、それはたぶん同じ…かな。
うぅ……うまく言葉にならないよー。読み返しても、意味がよくわからない。支離滅裂とはこのことだ……
ただ溢れるばかりの幸福が、この1巻に詰まっているのよ……感想にもなっていない気がするのは私だけかな。
---------------------------------------------------------------------------------------------------
輝く日々 眩い日々
彼らのいた季節が、いつまでも色褪せることはなく
ただ、いつまでもここに
この胸の中 に